アボリジニーの音楽

オーストラリアの先住民族アボリジニーは、たくさんの音楽を持っています。

例えば、様々な生活の儀式で歌われます。
その歌は、狩猟の歌、葬儀の歌、ゴシップの歌、先祖の歌、土地や自然の歌、動物や四季に関する歌、伝説や等多岐にわたります。

また、使われる楽器も、自然の恵みから得られた材料で作られています。

一番有名なのは、デイジリドウーと呼ばれる木笛ですね。

低音でビブラートがかかった特徴的なサウンドで、遠くから魂がやってくるような音がします。


とても特徴的な音です。これは、ケアンズのアボリジニー文化村で2011年頃撮影したものです。

調べてみますと、木製ではあるものの、発音原理から木管楽器ではなく、金管楽器(!)に分類される、とのことです。管の一端の口当てに口を付け、息を吹き込みながら唇を震わせ、口や筒の中に共鳴させて、音を発生させるそうです。確かに、あのお腹の芯を深く揺らせるあのサウンドは、ただの木管ではなく、金管かも。

シロアリに食われたユーカリの長い幹から作られるようです。

ディジリデゥー以外にも、手拍子や腿をたたく、スティックのような拍子木、ブーメラン、中が空洞になった木の幹に爬虫類の皮を張った太鼓を楽器として用いてます。また、オーストラリアの北部では、大きなほら貝も用いるようです。

どうも、英語のサイトをみると、オーストラリの北部、北西部、東部、中央部等で、それぞれどの楽器が使われるのか、また、楽団の構成が違うようですね。

私たちはケアンズでこの音楽を聴きましたが、ケアンズ周辺では、通常、ディジリデゥー、拍手の他、シンプルに太鼓の場合が多く、拍子木が伴うのは、北部のものだそうです。

この時アボリジニ文化村で聞いた音楽では、拍子木もあったので、北部のグループに近い構成で演奏していたのでは、と思いました。

拍子木を打つアボリジニ。ちなみに、文化村では、参加型でお粉れます。観光客もこの拍子木を打って、音楽に参加します。ボディペイントもされます。(結構似合う!)






また、アボリジニのダンスには、狩猟の纏わるものも多かったです。
カンガルーが出てくるもの、また、シロアリを木の葉で探し出しているダンス等。
時に、ユーモラスで、時にシリアスで、自然と共生している民の強さを感じることができます。

アボリジニーの文化村(おすすめの予約の方法等)

さて、ケアンズの生活に少しずつ慣れてきたころ、そろそろ、少し遠出の探検心が出てきました。

この日は、アボリジニーの文化を体験できる、ジャプカイ・カルチャー・パークへ遠出(?)することにしました。

予約は、直接、ジャプカイ・カルチャー・パークの公式サイトからしました。

もちろん、現地のツアー会社が運営するオプショナルツアーに申し込むこともできます。この場合、日本円でのお支払いとなります。

で、どっちがいいのかな?というところが気になると思います。

当時、私は、ジャプカイ・カルチャー・パークの公式サイトと、現地のツアー会社の値段とを比較してチェックしましたが、直接の公式サイトで申し込めば、一人分の料金設定の他、家族セットの料金があるのと、オーストラリアドルでの支払いでしたが、計算した結果、直接の公式サイトのほうがお得だった、という結論で、私の場合、直接ジャプカイ・カルチャー・パークの公式サイトで予約しました。また、このパーク、ちゃんと、ケアンズの市内のホテルまでの送迎付きで値段設定しているんですよね。アトラクション・パーク自身が、ツアー会社のような送迎サービスを提供しているのがすごい、と思います。私たちのように、名の知れたホテルではなく、一般の家(バケーションレンタル)にいましたが、ここでも送迎してくれるか聞いてみたところ、もちろんOK!ということで、家まで送迎してくれました。正確に言えば、家の場所がよくわからんのか、出発の時は、家の前の大きな通り沿いの目印となるモーテルみたいな宿泊先でピックアップしてくれ、帰りは、私たちの説明で、家の前で下ろしてくれました。無事、いけました。

2011年当時は、英語のサイトしかなかったようですが、現在は、日本語でも予約できるようです。簡単になってきましたね。

申し込んだのは、夜のディナーショーと星空のツアーでした。運がよく、天気は快晴で、雲一つなかったです。

到着すると、何やら怪しげな音楽が鳴り、(ここで末の娘が怖がった…)、興奮が高まったところ、でたぁ!と、オバケが。ここで、二人の子どもが泣きました!

その後、ダンスあり、キャンプファイヤーあり、とおもしろかったです。

今でも記憶に残っているのは、キャンプファイヤーが終わり、火が消えた後、暗闇から見る星空の美しさ! うちの子どもたちは、満点の星を見たことがまったくなく、こんなに空に星があったのか、という驚きで、ずっと、静かに空を見上げていました。
夏の大三角形も見ることができたし。
南十字星も見つけました。

そして、みんな、初めて流れ星というものをここで何回も見ることができました。
いっぱい、お願いできたな。

それは、それは素敵な時間でしたよ。

それから、参加側のダンスショーがあり(これは、疲れたケド)、ディナーにありついて、家族には大うけのディナーショーでした。

このディナーも、アボリジニ伝統のスパイスを使ってあるそうです。

アボリジニーの点描画。モチーフは自然の生きとし生けるもの。

自然と融合する、こんなに素晴らしい文化を継承しているアボリジニですが、その後、私たちは、アボリジニーの現代の問題にも実際に遭遇することになりました。

ある日、私がその晩の晩酌用のお酒とおつまみを買おうと、近所にあるリカーショップへ寄ろうとした時です(家族連れで)。

店の前に、あれ、ちょっとアボリジニーに似ている肌の色がやや浅黒い男の人たちがいる!。似たようななりの人たちが、5、6人いたでしょうか。フラフラと歩いているというか、立っているというか、たむろっていました。
近づいてみると、会話もはっきりせず、おそらく、お酒に酔っているのか、ドラッグ中毒になっているのか、みんなそんな感じの様子でした。

ちょっとどうしたものかと思いましたが、いきなり暴力的になるとも思えなかったので、子どもとともにスタスタとお店に入りました。ただ、彼らはクダをまいているだけでしたので、危害は及びませんでした。

後で、私たちが借りたお家のオーナー夫婦を夕食に招待したときに、この時のことをお話ししたら、オーストラリア政府から支援金がでているんだけれども、それをお酒に使ってしまう人も多いとのこと。植民地からの虐げられた歴史が歴史だけに、なんとも言えない出来事でした。

どうも後から調べると、アボリジニーをはじめ先住民たちのアルコール依存症は社会問題になっているとのこと。また、平均寿命も17年も短く、死亡率は白人よりも2倍高いとか。植民地時代から現代にいたるまで、アボリジニーの子どもたちの同化政策もあり、アボリジニーの家族から子どもたちを隔離し、白人家庭や施設で「教育」するということも行われたとか。土地も、財産も、文化も奪われ、1967年にやっと市民権が、1993年には先住民権が認めらられた民族。かつては、250以上の言語と、700以上の部族がいた民族。

誇り高きアボリジニー。

自分たちの文化とアイデンティティを世界に発信し、ジャプカイ・カルチャー・パークのように自分たちの誇りをキャッシュに変えて、自分たちの社会へ還元してほしいな、と思いました。

でも、ジャプカイ・カルチャー・パークのオーナーは誰なんだろう。

と思って、調べてみたら、どうもIndigenous Business Australiaという政府機関が、運営しているようです。この組織、最終的には先住民に移管するよう支援しているらしい。

そして、どうも、1998年にジャプカイの子孫で、このカルチュラルパークの店舗スタッフからキャリアを始めたシャーリーさん(女性)が社長の役を任せられた、という記事を発見しました。

このカルチュラル・パークの従業員のうち約70%にあたる63人がアボリジニーのスタッフを雇用されている(2018年データ)そうです。また、2016-17年には、このパークを通じて、雇用やロイヤルティ、コミッション等を通し、現地のジャプカイのコミュニニティに、430万ドル(4.7億円)供与されたそうです。ちゃんと現地の人たちに還元されているみたいですね。

ぜひとも、この文化村の主催しているツアーにご参加ください!